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「開けます」と「開きます」の違いを聞かれて、うまく説明できなかった。日本語を教えていると、そんな場面に出会うことがありますよね。
結論から言うと、日本語教育で自動詞・他動詞を教える時は、助詞「が・を」から入り、ペアの形、「ている・てある」の順に進めると、学ぶ人がつまずきにくくなります。
この記事では、その順番と、実物を使った見せ方、練習問題の作り方を紹介します。
日本語教育で自動詞・他動詞を教える時、最初に何を伝える?
最初に伝えたいのは「物がひとりでに変わる」と「人が何かをする」の違いです。文法用語より先に、場面で見せるのがおすすめです。
『自動詞・他動詞って、用語から説明したほうがいいの?』と迷う方も多いはずです。
ただ、学ぶ人にとって「自動詞」「他動詞」という言葉は、それだけで難しく聞こえます。まずは場面で違いを見せて、あとから名前をつけるほうが伝わりやすいんです。
| 伝えたいこと | 場面の例 | 文 |
|---|---|---|
| 物がひとりでに変わる(自動詞) | 部屋が明るくなる | 電気がつきます |
| 人が何かをする(他動詞) | スイッチを押す | 電気をつけます |
自動詞・他動詞そのものの説明は、日本語の自動詞と他動詞で詳しく紹介しています。
「が」と「を」をセットで出す
日本語の自動詞は「〜が」、他動詞は「〜を」と組み合わせるのが基本です。
動詞だけを単語カードで覚えると、どちらの助詞をつけるかで迷いやすくなります。最初から「電気がつく」「電気をつける」のように、助詞と動詞をセットで出してみてください。
「自動詞」「他動詞」という言葉はいつ出す?
用語は、違いが分かってきた後に「こういう動詞を自動詞と言います」と名前をつける形で紹介すると、すっと入ります。
ただ、学ぶ人の母語にも自動詞・他動詞の考え方がある場合は、早めに用語を出したほうが分かりやすいことも。
学ぶ人の様子を見ながら、用語を出すタイミングを決めてみてください。
学ぶ人がつまずく順に教えるには?教える順番の表
つまずきやすいのは「助詞」「ペアの形」「ている・てある」の3か所です。この順番で1段ずつ進めると、前の段が次の段の土台になります。
日本語教育での自動詞・他動詞は、一度に全部を教えようとすると混乱しやすい項目です。
『どこから手をつければいいの?』という方のために、教える順番を表にしてみました。
| 段階 | 教えること | 学ぶ人のつまずき | 練習の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 「が+自動詞」「を+他動詞」 | 助詞を取り違える | 窓( )開けます |
| 2 | ペアの形(開く・開ける) | どちらが自動詞か分からなくなる | 電気が(つきます・つけます) |
| 3 | 移動の「を」(道を歩く) | 「を」があるのに自動詞で混乱する | 公園( )散歩します |
| 4 | 自動詞+ている | 状態と動作の区別 | 窓が開いています |
| 5 | 他動詞+てある/ておく | 「ている」との違い | 窓が開けてあります |
段階1:助詞から入る
最初は、「が」と「を」のどちらを使うかだけに集中してもらいます。
例えば、ドアを指して「ドアが開きます」、自分でドアを開けながら「ドアを開けます」と見せます。動詞は少なめにして、助詞の違いに目が向くようにするのがコツです。
段階2:ペアの形を見せる
助詞に慣れたら、ペアの形に進みます。
「閉まる・閉める」「始まる・始める」のように、形の変わり方が同じペアをまとめて出すと覚えやすくなります。
ペアを形のグループごとに並べた表は、日本語の自動詞・他動詞ペア一覧にまとめてあります。
段階3〜5:「を」の例外と「ている・てある」
ペアが分かってきたら、「道を歩く」のような移動の「を」を紹介します。
そのあとで「窓が開いています」と「窓が開けてあります」の違いに進みます。ここは上級の内容なので、焦らずに時間をとりましょう。

- 実物を使って「が」と「を」の文を見せる
- 形が同じグループのペアをまとめて練習する
- 移動の「を」を例外として紹介する
- 「ている」で状態を言う練習をする
- 「てある」「ておく」との違いに進む
学ぶ人によくある間違いと直し方
教えていると、似た間違いが何度も出てきます。よくある形を知っておくと、その場で落ち着いて直せますよ。
| よくある間違い | 正しい文 | 直す時のひとこと |
|---|---|---|
| 窓を開きます | 窓を開けます | 「を」の時は「開けます」 |
| 電気がつけました | 電気がつきました | 「が」の時は「つきます」 |
| 窓が開けています | 窓が開いています/窓が開けてあります | 「ている」は自動詞と組む |
| 公園が散歩します | 公園を散歩します | 通る場所には「を」を使う |
『間違いを直すと、自信をなくさないかな』と気になる方もいるはずです。
そんな時は、正しい文をもう一度ゆっくり言って、助詞だけを強めに発音してあげると、責める感じになりにくいです。
実物や絵カードでどう見せる?
自動詞・他動詞は、目で見せるといちばん伝わります。実物や絵カードで「人がする」と「物が変わる」を対にして見せましょう。
説明だけで分かってもらうのは、なかなか難しいですよね。
実は、教室にある物だけでも、自動詞・他動詞の違いはたくさん見せられるんです。
教室にある物で見せる例
例えば、電気のスイッチを使った見せ方です。
「(スイッチを押しながら)電気をつけます」
「(明るくなった天井を指して)電気がつきました」
最初の文は人の動作、次の文は電気に起きた変化です。同じ場面を2つの文で言うことで、違いが自然に伝わります。
| 使う物 | 他動詞の文 | 自動詞の文 |
|---|---|---|
| 窓 | 窓を開けます | 窓が開きます |
| ドア | ドアを閉めます | ドアが閉まります |
| 電気 | 電気を消します | 電気が消えます |
| ペン | ペンを落とします | ペンが落ちます |
授業での会話の例
実物を使った後は、短いやりとりで定着させます。例えば、こんな流れです。
「窓は今、どうなっていますか」
「窓が開いています」
「誰が開けましたか」
「先生が開けました」
自動詞と他動詞を交互に言う質問にすると、学ぶ人は自然に両方を使うことになります。
絵カードを作る時のポイント
実物がない時は、絵カードを2枚1組で作ると便利です。
- 他動詞のカードには、動作をする人の手を描く
- 自動詞のカードには、人を描かず物の変化だけを描く
- 2枚の場面(窓・電気など)をそろえる
- カードの裏に「が」「を」と書いた文を入れる
人の手が見えるかどうかで、学ぶ人はすぐに区別できるようになりますよ。
自動詞・他動詞の練習問題やクイズはどう作る?
練習問題は「助詞の穴埋め」「動詞の選択」「ている・てある の書き換え」の3種類で作れます。教える順番の段階に合わせて使い分けましょう。
日本語の自動詞・他動詞の練習問題を自分で作りたい、という方も多いはずです。
ここでは、そのまま使える作り方を紹介しますね。
型1:助詞の穴埋め
文の中の助詞を空欄にして、「が」か「を」を入れてもらう問題です。
- 窓( )開けます。
- 授業( )始まります。
- 先生が宿題( )集めます。
答えは、を・が・を です。段階1の確認にぴったりです。
型2:動詞の選択
ペアのどちらかを選んでもらう問題です。
- ドアが(閉まりました・閉めました)。
- 電気を(つきます・つけます)。
助詞をヒントにして選べるかを確かめられます。段階2で使うと効果的です。
型3:「ている・てある」の書き換え
文を「ている」か「てある」に書き換えてもらう問題です。
- 誰かが窓を開けました。今もそのままです。(答え: 窓が開けてあります)
- 電気がつきました。今もそのままです。(答え: 電気がついています)
段階4〜5の確認に使えます。

問題を作る時に気をつけたいこと
練習問題は、文が自然であることがいちばん大切です。
- 毎日の生活で実際に使う場面の文にする
- 1問の中で使う語彙は、学ぶ人が知っている言葉にする
- 答えが2つ以上ありえる問題は避ける
- 移動の「を」の問題は、段階3以降で出す
例えば「ドア( )閉まります」なら答えは「が」だけですが、「ドア( )見ます」のような文は場面によって迷いが出ます。答えが1つに決まるか、出す前に一度読み返してみてください。
クイズ形式にするなら
教室を盛り上げたい時は、クイズ形式も使えます。日本語の自動詞・他動詞のクイズは、例えばこんな形です。
| クイズの形 | やり方 |
|---|---|
| ペア当て | 先生が「閉まる」と言ったら、学ぶ人が「閉める」と答える |
| ジェスチャー | 先生が動作をして、学ぶ人が「を」の文で言う |
| 間違い探し | 「窓を開きます」のような文から間違いを見つける |
最初から形のちがうペアを何種類も混ぜると、学ぶ人が混乱しやすくなります。1回の練習では、形が同じグループのペアだけを使ってみてください。
英語の自動詞・他動詞の練習問題も見てみたい方は、自動詞・他動詞の練習問題も参考になりますよ。
日本語教育の自動詞・他動詞で知恵袋によくある相談
「食べる・飲むはどっち?」「移動動詞はなぜ自動詞?」「開けますと開きますの違いをどう説明する?」という相談がよく読まれています。
ここでは、日本語教育の自動詞・他動詞について、よく読まれている相談を要約して紹介します。
「食べる・飲むは自動詞?他動詞?」
日本語の文法として、「食べる」「飲む」はどちらなのか、という相談です。
答えは、どちらも他動詞です。「ご飯を食べる」「水を飲む」のように「を」と組み合わせますよね。
また、「食べる」「読む」「書く」には、対になる自動詞がありません。ペアのない他動詞として紹介すると、学ぶ人も迷いにくくなります。
「移動の動詞が、どうして自動詞になるの?」
「道を歩く」「家を出る」は「を」があるのに、なぜ自動詞なのか、という相談です。
説明する時は、「この『を』は、物ではなく場所を表しています」と伝えるのが分かりやすいです。
『道は歩かれて変わるわけではないですよね』と問いかけると、学ぶ人も納得しやすくなります。
| 文 | 「を」が表すもの | 動詞の種類 |
|---|---|---|
| 本を読みます | 動作を受ける物 | 他動詞 |
| 道を歩きます | 通る場所 | 自動詞 |
| 家を出ます | 離れる場所 | 自動詞 |
「開けますと開きますの違いを、どう説明すればいい?」
「開けます」が他動詞、「開きます」が自動詞だと分かっていても、学ぶ人への説明に困る、という相談です。
こんな時は、文法用語を使わずに「人がします」と「ひとりでにそうなります」と言い分けるのがおすすめです。
実物のドアを開けながら「ドアを開けます」、風で開いたように見せて「ドアが開きました」と見せれば、言葉の説明がなくても伝わります。
相談への答えは、学ぶ人のレベルによって言い方を変えるのがおすすめです。初級の人には「人がします・ひとりでになります」、文法に興味がある人には「目的語をとるかどうか」のように、言葉を選んでみてください。
よくある質問
日本語教育で自動詞・他動詞はどの順番で教えればいいですか?
「が・を」の助詞から入り、ペアの形、移動の「を」、「ている」、「てある・ておく」の順に進めるのがおすすめです。前の段階が次の段階の土台になります。
日本語の自動詞・他動詞の教え方で、いちばん大事なことは何ですか?
用語より先に、実物や絵カードで「人がする」と「物が変わる」を対にして見せることです。助詞と動詞をセットで出すことも大切です。
自動詞・他動詞の練習問題はどう作ればいいですか?
助詞の穴埋め、動詞の選択、「ている・てある」の書き換えの3種類が作りやすいです。教える段階に合わせて使い分けましょう。
「窓が開けています」という間違いはどう直せばいいですか?
「ている」は自動詞と組んで「窓が開いています」、他動詞なら「てある」と組んで「窓が開けてあります」になると伝えます。誰かがわざと開けたかどうかで使い分けると説明すると分かりやすいです。
自動詞・他動詞のクイズにはどんなものがありますか?
ペアの片方を聞いてもう片方を答えるペア当て、先生の動作を文で言うジェスチャー、間違った文を見つける間違い探しなどがあります。
まとめ
- 最初は「物が変わる」と「人がする」の違いを場面で見せる
- 教える順番は、助詞、ペアの形、移動の「を」、ている、てある
- 実物や2枚1組の絵カードで、人の手の有無を見せる
- 練習問題は穴埋め・選択・書き換えの3種類で作れる
- 1回の練習では、形が同じグループのペアだけを使う





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